本日、晴れて23年産米の初出荷となりました。
ようやく今年の野良仕事も終盤戦。めでたい日です。
トラストオーナーの皆様には、来週中にはすべて出荷できると思いますので、どうか楽しみにお待ちいただけたらと思います。
一般販売につきましては、それ以降の対応になりますので、何卒よろしくお願いします。
近々、価格表を提示の予定です。
さて、そんな忙しい時ではありますが、先日
男鹿市五里合地区、すげ傘伝承塾の方々にお招きいただいて、
すげの栽培を手伝ってきました。
琴川地区では、代々伝わる伝統芸能であるすげ傘つくりを
ここで絶やしてなるものかと、僕と同世代の人たちが奮闘しています。
その一人が、「こぉひぃ工房 珈音」の佐藤毅さん。
珈琲焙煎を生業にして、 コントラバスの演者。
海と山とが巡り会う男鹿市五里合琴川地区の地形のように、
静かに穏やかに、荒れ狂う冬の風雨を諭すかのような、
謙虚な人柄に魅了される。
第一印象から、ぐっと来る人だ。
毅さんとすげ傘伝承塾については、こちらをご覧下さい。
その毅さんを中心に、集う仲間。
皆、この風土を愛し、 流るる時間、尊きを
存分に知っている、もしくは味わい浸ることのできる素晴らしい面々。
もう、それだけで、十分にすばらしすぎるのだが、
ナント、この人たち、
スゲの栽培からすげ傘になるまでを手掛けたい という。
いやいや、それは欲張りすぎるよ。
俺もやりたい。
と思っていた所に、
補助金をもらっている事業でもあるという事で、
中に入っているcasane-tsumuguの田宮慎さんからの光栄なる
「講師として手伝ってもらえないか」の一声に、
「迷わずOK」
という経緯で、
不耕起移植栽培の技術をすげ栽培に活かせないかという
前代未聞の チャレンジをすることとなりました。
前置きが、長くてすみません。
ここから本題です。
すげは、 清らかな水の流れる、谷間の湿地に古くから自生している植物のようです。
ほっとくと、1m50cmくらいになります(まったくの推測)。
ただ、すげ傘や、馬の鞍をつくるような細工用としては、自生のままでは粗雑で、
より葉幅の広いものや、強いものを求め、栽培をする地域があったようです。
イネと同じイネ科の植物ですが、米のような食料を収穫できるわけではないので、
その栽培体系が確立されていません。よって、伝承口承のみを頼りとしています。
おもしろい。乗った。
まずは、自生している沢水の流れるポイントから株分けします。
丈が、1m近くあるので、頭を刈り取ってから、掘り採ります。
ほぼ、稲と同じような根の張り方です。
主根が数本に細根がめぐっています。
浅く広く広がっていますので、周囲をスコップで切って、
掘り上げ、根を洗います。(ちょうどよく、沢水が流れている。自然はつくづくうまく出来ているものだと思う)
しばらく、群生地帯を掘り採ってみると、
どうやら、昔の人が作り上げたらしい苗代のような不自然な地形が目につく。
もしかしたら、ここは、すげ苗代だったか、稲苗代だった後にすげが棲み着いたか、
そんなすげの採種地であることが興味深かった。
いずれにしても、数十年来、整備もされていない荒れ地になっているので、
すげ採種地として、周囲の雑木や下草を刈り取る作業をしたら、
風景を抜群によくできるだろうと感じた。
当然、水は天水。水生生物の格好のすみかとなっているはずだ。
オニヤンマ(多分)のヤゴもたくさんいた。
生物にとって魅力なのは、雑音がほとんどしない事でもある。
琴川に行くと。水のながれる音が、心にしみる。
夏には、蛍の乱舞に訪れる人々は、幻想に導かれる。
その蛍の田んぼの上流に、今回すげを栽培する田んぼがある。
生活用水の一滴も入らない、100%天水の田んぼがある。
一年中、水が途切れる事がない。つねに流れている。そんな田んぼ。
一度は耕作から見放され、芦(ヨシ)葦(アシ)が好き放題に
広がった水田。この田んぼに水を流す事のおもしろき。
そこへ、掘り採ったスゲ苗を丁寧に手植えする。
それが、この日の大仕事だった。
あとは、やりとげた、衆の顔を見て、イメージして欲しい。
cc.casane-tsumugu 田宮慎さん(写真提供)